2年前に越してきた今の住みかは、街中から車で5分だが自然豊かな山里。生き物もいろいろ現れる。夜帰ってくると、道路の真ん中を悠然とタヌキが歩いている。野ウサギが車の先導をしてくれたこともある。妻が育てたジャガイモはイノシシの来襲を受けてトタンで囲った。もう少し山に入るとカモシカやクマもいる所だ。
自宅は築100年の古民家で、前は川、裏は山。 当然、家の内外にも訪問者は多い。オオムラサキやカラスアゲハ、クワガタや色とりどりの野鳥は嬉しいが、顔を見せるのは都合のいい生物ばかりではない。蛇はほとんど目にしないが、スズメバチやクマバチはぶんぶん飛び回っている。洗濯物を取り込むときに注意しないと、衣服に蜂がくっついたままタンスの中へ...。その後の悲劇を想像するのは難しくないですね。
一番迷惑なのが家の中に侵入してくる奴ら。ときどき天井裏で何かがドタバタしていることがあるが、正体は不明だ。ネズミよりも重量感のある音なのでハクビシン、ムササビあたりか?...都会でお馴染みのゴキブリは皆無だし、蚊や蝿も意外と少ない。これは冷涼な気候の信州ゆえの恩恵だろう。蛾や蜘蛛、コオロギやカマドウマなどは全く気にならない。春先と秋に大発生するカメムシ(=潰すと臭いので専らガムテープにくるんでポイ!)も、煩わしいがまだ許せる。
許せないのが
ムカデ!だ。一昨年も昨年も出たことは出たが時折で、せいぜい1年で5~6匹というところだった。忘れた頃に見かけるだけだったので、以前買っておいたムカデ忌避剤もダンボールを開封することもなく眠っていたのだ。ところが、どういうわけか今年は頻繁に出没する。
5月下旬から今日までにすでに12匹退治+コタツ敷物の下で死んでいたのが1匹+子ムカデ1匹。大きくても10㎝に満たないサイズだが、黒光りするあの色と、モゾモゾクネクネとする動きがたまらなく不快である。不快なだけなら我慢するが毒もある。逞しい顎で咬まれると相当痛くて腫れ上がるらしい。どこまでホントかわからないが、長靴の中に潜んでいたムカデに咬まれて足が腫れ上がり、脱げなくなってハサミで切ったとか、まぶたを噛まれて失明した例もあるとか...。(因みにウチに出るのはたぶん
アオズムカデ。写真見る勇気のある方は
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実は昨年一度、パソコンをしていたらズボンの中にムカデが侵入してきたことがあった。すねの辺りが何かワサワサするので気のせいかと放っておいたが、また動いた。明らかに何かいる...。
奴だ!とっさに立ち上がってズボンをパッと下ろすと、サーッと逃げていった。思わずゾーッ...。ズボンの方に付いていたから良かったものの、足の方だったら咬まれていたかも知れない。あのときの気色悪さがトラウマになっている。ムカデの大量侵入だけは何としても阻止したい。果てしなき戦いの始まりだ。
まずは昔買っておいた忌避剤を撒く。室内用はヒノキの香りがする小袋。10個しかないので、よく出るパソコン部屋と寝室を優先。外に撒く薬剤は木酢液が主のようで独特の煙くさい匂い。この匂いが苦手という人もいるが、幸いウチは夫婦そろって大好きだ。とりあえず家の基礎部分半周と、どうもここから入ってくると思われる玄関に散布する。さらに、家の中で発見したときに備えて「ムカデキンチョール」を用意。この薬、噴射してもすぐには死なないが、じわじわと毒が染み込んで確実に退治できる優れもの。通り道に塗っておくだけでも効果があるという。さて、どうなるか...。
...
やっぱり出る!毎日1、2匹ムカデキンチョールの餌食に...。朝発見したり、夜帰宅したときにちょうど玄関の土間の隙間から這い出てくるのを目撃したり...。眼鏡を外して座布団の上で読書していたら、座布団の下(目先40㎝)を通ってそばの新聞の上をカサカサ!...鳥肌ものでした。
一番多い日は1日に4匹。こうなると、家にいる間常に床を見たり天井を見たりでキョロキョロ...。少しの物音にも反応してしまう。ムカデ対策をネットで調べれば調べるほど、体験談等で恐怖も増す。服の名から首筋に出てきたとか、寝ている間にパジャマの中に入ってきて咬まれたとか、天井から降ってきたとか...。今のところ寝室には一度も現れていないし、天井に発見したこともないのが救いだが、眠りも日に日に浅くなっていく。
で、さらにいろいろ調べていたら、
「ムカデにはナフタリンが効く」という記述を発見。タンスに入れる昔ながらのアレ(錠剤状のが2つずつ入っているもの)でいいそうだ。これで安眠が約束されるなら、こんな手軽なことはない。安価だから大量に使えそうだし...。早速ドラッグストアに買いに行くが、今の防虫剤にはナフタリンを使っているものが少ないのだ。「パラクロジクルベンゼン」とかいう成分が主流で、これでもいいのかも知れないが万が一効かないと困る。...やっと見つけたナフタリン使用の防虫剤はタンスに吊すタイプのもの。と言っても、2個ずつ入った袋が4列×4行つながって1枚のシートになっているので、間をハサミで切り離せば置くタイプと同じになる。その手間と、少し高めの値段には目をつぶって購入。各部屋に数個ずつ置いて回った。玄関や洗面所は特に密に...。隙間には袋ごと突っ込む。ナフタリンは人間様の体にも良くないという情報もあったが、背に腹は替えられぬ。あのエイリアンのようなおどろおどろしい姿を見なくて済むなら、多少の寿命はくれてやろう...。結局1箱近くばらまいた。
それから今日で7日目。夜はこれに加え、やはり効果があるという蚊取り線香も焚いている。その結果...
ホントに出ない! 2日目にナフタリンを置いていなかった部屋で1匹(もちろん今は置いてます)、4日目に妻が子ムカデを捕まえただけ。効果絶大だ。ここのところ夜は気温が低めに推移していることもあり、安眠できる日が続いている。特有の匂いも初めは気になったが、今ではまったく感じない。あまりに匂わないので不安になるほどだが、外から帰ってきて玄関を開けると確かに匂うので一安心...。
もちろんまだ油断はできない。これからが梅雨本番。ホタルも出てくる蒸し暑い夜が最も注意を要する。
「もう大丈夫」と思ったときこそ危ないと兼好法師も書いていた(「高名の木登り」)。「アース虫コロリ」(白い粉)も撒いたし、万一に備えて咬まれたときの薬も買った。いざとなったら購入できるよう、ムカデ対策用の蚊帳(底にも網)も探してある。備えは万全。足元、天井、そして衣服や靴の中への注意も決して怠らぬ。夏を越してたぶん10月くらいまで、ムカデとの熱い戦いが続く...。