「みかんが24個あります。2人で同じ数ずつ分けると、1人何個になりますか?」
小学校の算数です。もちろん答えは24÷2で12個ですね。では、なぜこの式で答が出るのか説明してください。大切なのは「÷2」という作業の意味です。
問題文中のどこに「÷2」の根拠があるのか、その部分に線を引いてみましょう。...「2人で」だけに線を引いた人、残念ながら×です。次の
「同じ数ずつ」があって初めて「÷2」という式が導き出されるのです。たとえば次のような問題ならどうでしょう。
「24個のみかんを姉と妹で分けます。姉が妹より4個多くなるようにすると、それぞれ何個ずつになるでしょう?」
これも先ほどと同じように、いきなり24÷2で始める子が少なくありません。中学生でもほとんどの子がそうします。で、12を出して、姉は4個多いので12+4=16→姉16個、妹12個。...ここで「あれ?」と気がつけばまだいい方で、2人合わせると28個になる矛盾など全く無視して解答を終える子が多いのです。
わり算は同じ大きさに分けるときしか使えません。2人の個数が異なるのに「÷2」で始めるのは全く意味がないのに、「分ける」というだけで反射的に24÷2にしてしまう...。正しい解き方は、
24-4=20、20÷2=10、10+4=14→ 姉14個、妹10個ですね。まず姉の方が多い4個を全体から引いてしまう。これで同じ大きさが2つ(妹分×2)になるので、ここで初めてわり算ができるわけです。20÷2の10個は妹の個数、それに4を足した14個が姉ですね。もちろん24に4を足して28にして、これを2で割っても構いません。この場合は先に姉の14個が出ます。いずれにしろ、
わり算が使えるように同じ大きさを2つ作り出す(想定する)ことがポイントになるわけです。
方程式を知っている生徒なら、こんなことは考えず機械的に解いてしまうかも知れません。その方が高度な解き方だと思う人もいるでしょう。しかし、方程式でも結局は同じ仕組みを使っているのです。そして、実は方程式だと式さえ立ってしまえばあとは作業になってしまい、「なぜ?」は等閑になりがちなのです。ですから塾では、方程式を知っている子にも、できるだけそれを使わないやり方で解かせます。
式や計算の意味を一つ一つ理解すること、解法の本質をつかむことを意識させるために、中学生の指導に算数的な考え方を採り入れることは極めて有効ではないかと考えています。